日本で生まれたあたしは、海外に出稼ぎに行くことになったの。おねえさんにそっくりなにせものが勝手に商売しているから、あたしが行って本物のよさをわかってもらわなくちゃならないから。
言葉がわからないあたしのために、お父さんはあたしのジャケットに出稼ぎ先で使う言葉を書いた紙を入れてくれた。未熟なあたしを見送るお母さんはちょっと悲しそう。
それでも、がんばってお仕事してるんだ。おかげで偽者にだまされる人は少なくなったんだよ。
ある日、あたしのいる店にやってきた人が、そろそろ故郷が恋しくなってきたんじゃないかって、航空券をくれたの。正直うれしかった。お父さんは途中で帰ってきちゃいけないよ、と言ったけど、がんばったんだから喜んで出迎えてくれるよね。
でも、あたしを空港で待ち構えていたのは、怖いおじさん。「君は帰ってきちゃいけないんだ」って言うの。どうして? あたしはおねえさんの代わりにお仕事いっぱいしてきたのに。
空港の留置場にお父さんとお母さんが会いに来てくれた。でも、お父さんは怒ってた。どうして帰ってきたんだって。あたしが帰ってくると、おねえさんの仕事の邪魔になるんだって。あたしもおねえさんのにせものなんだって。
あたしも、お父さんとお母さんのこどもなのに。
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