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読んだ本: 2009年2月 Archive
「もしも幕藩体制が現代まで続いていたら」なバカ小説『エンブレムは葵! カレシは征夷大将軍!?』
朝日ノベルズというマイナーレーベルなせいか、あるいは吉岡平さんが過去の人と見なされているせいか、あるいは想定読者層が「時代劇をギャグとして楽しめる人」というニッチすぎるあたりにあるせいか、いまひとつ話題になってない『エンブレムは葵! カレシは征夷大将軍!?』。想像以上にバカ小説でした。
徳川の治世が400年続く現代日本では、次の将軍を巡る様々な陰謀が繰り広げられていた。そんな時節に御三卿の一つ、田安家のプリンスの暗殺未遂事件が起きる。その時、たまたま現場に居合わせた羊羹屋の娘とプリンスとの間に、身分違いの恋愛感情が生まれてしまった。果たして二人の恋の行方は? そして新たな将軍は誰に!? 著者渾身の架空歴史小説!
そんな真面目な話ではありません。くノ一がいて、将軍選びの老中会議はゴルフ場。切腹が行われ、鷹狩りにランドクルーザーで参加し、田安邸の特設スタジオでロックコンサート。田安邸跡地が今何になってるか知らなかったので驚きました。
武家キャラクターの時代劇的な台詞回しと、ヒロインのビッチな発言と行動。思いっきり読む人を選ぶ作品です。「ご禁制のサブマシンガン」など、今あるものを江戸時代の価値観で言い表しているところが思いっきり異化作用を起こしてるわけですが、「ちょ、それは!!」と思ったのは
『田安家の次男坊は、ダサい防弾チョッキを着てロックをひやかしwwww』と、匿名掲示板で末代までの物笑いの胤よ
草生えてるし! 縦書きで草生えてるの初めて見たよ!!
2009年2月16日から2月22日に読んだ本
『とある飛空士への恋歌』は「『とある飛空士への追憶』の続編」ではない
昨年話題になった『とある飛空士への追憶』と同じ世界を扱った『とある飛空士への恋歌』が発売されました。船ではなく飛行機が発達し、大瀑布が海を分ける世界における飛空士の恋物語。
ただし、登場する国家が全然違うこともあって、「本当に同じ世界なの?」などと思ってしまうことも多々あります。作品のテーマも全く違います。「追憶」が「ローマの休日」なら「恋歌」は「ロミオとジュリエット」。物語の背景にある「風の革命」が、革命政府のぐだぐだっぷりを含めてフランス革命をモデルにしてるのも気になってます。まさかナポレオン出ないよな。
著者の犬村小六さんの別作品『レヴィアタンの恋人』は絶賛積読中なのですが、「追憶」と「恋歌」比べる限り、絵になるシーンを書くのがうまいなあ、と思いました。「追憶」だと別れのシーンがすばらしいですし、「恋歌」でも式典の際に主人公カルエルがニナ・ヴィエントに向ける憎しみの視線や、カルエルが出会った少女を自転車に乗せ、その後転倒してしまうシーンなど。この美しさについてはもう「ぜひ読んでください」としか言えません。
「追憶」で、ギャグの一種としか思えないほどドンビキしたファナの美しさ描写みたいなことはありません、大丈夫。昨日Twitterで話題になったんですけど、ファナの描写は特に女性読者に大不評だったみたい。あれは確かに人間の美しさを語ってるように見えませんでしたからね。色とりどりの花や輝く宝石を愛でているような。実際あの時点のファナは花や宝石、美術品と同価値でしかなかったわけですが。というかそこまで考えてあの描写にしたならすごいなあ。
以下、ネタバレにつき注意。致命的なものは避けました。
2009年2月9日から2月15日に読んだ本
2009年2月2日から2月8日に読んだ本
2009年1月26日から2月1日に読んだ本
期間 : 2009年1月26日 ~ 2009年2月1日 読了数 : 14 冊 | |
![]() | 平坂 読 / メディアファクトリー (2009-01) ★★★★★ 読了日:2009年2月1日 幼馴染ネタは切ない |
本・雑誌 | 神月 凛 / 角川グループパブリッシング (2009-01-26) 読了日:2009年1月31日 原作2巻部分で完結 いろいろと謎を積み残しにしてるので、あとは原作読めってことか? |
![]() | 塩川 伸明 / 岩波書店 (2008-11) 読了日:2009年1月31日 |
![]() | アサウラ / 集英社 (2009-01-23) ★★★★☆ 読了日:2009年1月31日 熱い戦い、合間に入るギャグ 問題の産地偽造疑惑ですが、単に採算度外視なだけでした。 |
![]() | 三浦 良 / 富士見書房 (2008-10-20) 読了日:2009年1月31日 魔法少女の骨子だけは踏襲している異色作 |
![]() | 小田川さなえ / グラフ社 (2008-12-18) 読了日:2009年1月30日 |
![]() | 中村 逸郎 / 講談社 (2008-11-19) 読了日:2009年1月30日 |
![]() | 瑞山 いつき / 角川グループパブリッシング (2008-12-27) ★★★★★ 読了日:2009年1月30日 ライオンよりカカシの方がいいところ取ってるのはともかく、ラブ大増量。 謎解き巻でもあって、マギと《真実の星》について語られました。これってアフターホロコーストだったんだ。 そしてラドの変節っぷり。マッドサイエンティストはこうでなくっちゃ。 |
![]() | 加藤 ジェームズ / 毎日コミュニケーションズ (2008-07-23) 読了日:2009年1月30日 歴史が4分の3ぐらい。残りが地理・公民。 質問とそれに対する10代から50代までの回答、それに関する解説が数ページという構成。 |
![]() | 妹尾 ゆふ子 / 幻冬舎 (2008-10-31) 読了日:2009年1月29日 |
![]() | 上杉 隆 / 幻冬舎 (2008-07) 読了日:2009年1月29日 マスメディアの談合体質批判だけで一冊にしたもの |
![]() | 中里 十 / 小学館 (2008-10-18) 読了日:2009年1月28日 砂糖菓子みたいなお話でした |
![]() | 林 亮介 / ソフトバンククリエイティブ (2008-11-15) 読了日:2009年1月27日 |
![]() | ダミアン・トンプソン / 日経BP社 (2008-12-11) 読了日:2009年1月26日 アメリカで話題の疑似科学・疑似史学トピックについて広く浅く。 |
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