刊行ペースががた落ちして大丈夫だろうかと思っていた「彩雲国物語」が、本編18巻『紫闇の玉座(下)』でとうとう完結しました。最終巻は526ページあとがきなしという、少女向けライトノベル文庫最大ページになりました(さすがに少年向けだと1000ページ超という超大物がいる)。
あとはザ・ビーンズvol.8掲載の「深き眠りの水底で」、ザ・ビーンズ vol.12、vol.13に掲載され、現在携帯電話専用サイト「小説屋sari-sari」で期間限定公開中の「運命が出会う夜」、月刊Asuka掲載の「いつか会いに行きます ~愛すれど君は彼方~」が未単行本化だったはず。「こんな過去編が欲しい」は無理だろうなあ。
アニメ版は『白虹は天をめざす』までだったんだけど、続編やるんでしょうか。けっこう間が空いたのでやらないかもなあ。
以下、感想を。一部ネタバレになる書き方になっています。
『白虹は天をめざす』あたりからどんどん低下していった王と側近組の株が、『紫闇の玉座(上)』でもうどうしようもなく底を打ったかと思ったのに、下巻に入ってまだ悪化して「おいおい、まだ底についてなかったのか。というよりここからどう逆転劇するつもりだ」と読むのがつらくなりました。
そこからの逆転劇がもう力業と言っていいぐらい。メインキャラクターオールキャスト状態にしなきゃまあ勝てませんよね。無理矢理大団円に持っていったというか、人死がよくあれだけですんだというか。冷静に考えれば「ご都合主義じゃね?」と思うのですが、読んだときにはジーンときました。
終章に関してはちょっと複雑な心境です。「さっきまでの感動を何しやがるんだ」と思い、そして「結局そうなってしまったのか」というあきらめに似たものを感じたり。彼らのその後を知ったのは良かったのですが、もう「その後は書かれない」ということを突きつけられて寂しさが。毎日投げ込まれる嘆願書とか楽しそうな話なんだけどなー。
あと、キャラクターごとの感想。まず黎深・絳攸親子。見事なほどに締まらない終わり方でした。黎深は元からギャグキャラ要素が強い人物でしたが、絳攸は秀麗との結婚話が出る程度に当て馬キャラだったのにどうしてこんなことに。奇人が黎深に引っ張られてギャグキャラになってしまったことに涙が止まりません(笑いで)。
小リオウ君。終章で矛盾の結果を押しつけられて大変不幸なことになっていましたが、最後の最後で逃げ切ったようで。世話焼き系のキャラなのでさらにいろんな不幸を押しつけられてしまいそうです。そういや世話焼き系の珀明君はどこにいた?
楸瑛、ボウフラ男だのと散々悪態吐かれて、往時の色男ぶりがどこにも見当たらない状態ですが、なんとか押し切れたんでしょうか。劉輝と意気投合、というあたりに零落ぶりがうかがえます。
悠舜、はい、全キャラクター中最も悪党でした。彩八仙の連中より悪党ってどういうことよ。キャラクターも読者も振り回しやがって。でも悪党にも弱みってあるんですね(遠い目)。技能賞。
劉輝、下巻の半分になっても「最上治って無謀じゃね」と思いました。あいかわらずバカ王のままのようですが、バカはバカなりに人を使える王様になれた、ってことでいいのでしょうか。殊勲賞。
秀麗、ほんとお疲れ様でした。「伝説の名官吏」の名誉は、たぶんこの蝗害対応に関する動きから先なんだろうと思っています。その後もいろいろ頑張るでしょうが、そこは語るべき事じゃないんでしょう。敢闘賞。
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