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平安時代の実在人物が登場するライトノベル(ほぼ少女向け)

平安時代ものライトノベルは山ほどあれど(特に少女向けに)、きっちり実在人物が登場するライトノベルは多くはありません。私が知っている平安時代実在人物登場ライトノベルを推定作中年代順でまとめてみました。まだまだありそうなので情報求む(特に古い作品)。

桓武天皇時代

宮乃崎桜子『黄金の花咲く ―龍神郷―
主な実在人物:坂上田村麻呂、アテルイ(「アテリー」と表記)
アテルイの乱を背景にした悲劇の恋愛ファンタジーです。1巻もの。

嵯峨天皇時代

結城光流『篁破幻草子
主な実在人物:小野篁、嵯峨天皇、酒人内親王他
伝承中の小野篁や『篁物語』を下敷きにした、怨霊討伐物語です。鬼と化した篁が『少年陰陽師』の現代パロディ短編に登場していたのを覚えているのですが、本編で登場しているかどうかは確認とれてません。情報求む。全5巻。

朱雀天皇時代

如月天音『平安ぱいれーつ
主な実在人物:藤原純友、安倍晴明他
承平天慶の乱を純友側を中心にファンタジー要素満載で描いています。少年晴明があまりにも人の話を聞かない自信過剰男でびっくり。全3巻。

不明(朱雀天皇から村上天皇時代)

瀬川貴次 『暗夜鬼譚
主な実在人物:賀茂保憲、安倍晴明他
破格の出世で蔵人に任ぜられた少年が、怨霊だの妖怪だの呪術だのに巻き込まれる魑魅魍魎譚。承平天慶の乱後を背景にしています。美貌の少年陰陽師・一条は晴明だよね? スーパーファンタジー文庫全17巻、コバルト文庫全6巻。
藤原眞莉『姫神さまに願いを』晴明編
主な実在人物:安倍晴明、賀茂保憲他
『姫神さまに願いを』本編は戦国時代メインですが、平安時代メインの晴明編があります。どの時期かは明記されてなかったはずですが、晴明が若いのでここに入れました。書いてあるようでしたらどの辺だったか教えてください。全8巻(晴明編のみ)。
結城光流『我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明
主な実在人物:安倍晴明他
『少年陰陽師』の番外編的作品。若いころの安倍晴明の物語です。1巻もの。

村上天皇時代

松田志乃ぶ『平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり
主な実在人物:冷泉天皇、藤原兼通、藤原伊尹、藤原兼家他多数
宮廷ロマンス+ミステリです。女性キャラクターは必ずしも史実通りというわけではありませんが、実在名の男性キャラクターは解釈違いはあってもだいたい史実通りのようです。8巻まで刊行、継続中。
渡瀬草一郎『陰陽ノ京
主な実在人物:慶滋保胤、賀茂光榮、安倍吉平、安倍晴明他
陰陽バトルファンタジー。電撃文庫『陰陽ノ京』は慶滋保胤主人公ですが、『陰陽ノ京 月風譚』では賀茂光榮が主人公になっています。電撃文庫全5巻(?)、メディアワークス文庫1巻刊行済、第2巻刊行予定。

『嘘つきは姫君のはじまり』と『陰陽ノ京』はほぼ同年代です。『嘘つきは姫君のはじまり』では村上天皇の皇子はまだ誰も元服していない状態ですが、『陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼』において第四皇子為平親王が元服しているとの言及があることから、少なくとも『陰陽ノ京 月風譚』は『嘘つきは姫君のはじまり』の数年後と判断できます。

円融天皇時代

本宮ことは『魍魎の都
主な実在人物:清少納言、橘則光、頼光四天王、慶滋保胤、藤原道長他
退魔バトルファンタジー。外伝の方が先に出るという変則展開でした。清少納言、橘則光と藤原道長ってほぼ同い年なんですね。全4巻(本編2巻、外伝2巻)。

一条天皇時代

藤原眞莉『清少納言 梛子
主な実在人物:清少納言、藤原定子、安倍晴明
『姫神さまに願いを』晴明編に登場する弧精・梛子が転生して清少納言に、という設定の騒動記。清少納言が好奇心旺盛でいろいろ首突っ込んで話を作るのは基本みたいだ。全3巻。
結城光流『少年陰陽師
主な実在人物:安倍晴明、藤原彰子、藤原道長、藤原行成他
陰陽バトルファンタジー。主人公は晴明の末孫(吉昌の末息子)ですが、どうやら実在はしない模様。彰子の扱いも変則的です。31巻まで刊行、継続中。
霜島ケイ「封殺鬼 鳴弦の月」
主な実在人物:安倍晴明、藤原道長、源頼光他
陰陽バトルファンタジー。大江山の盗賊首領の鬼・酒呑童子が晴明らに出会った話。大江山討伐前夜です。『封殺鬼 鳴弦の月』所収の短編。
宮乃崎桜子『斎姫異聞』『斎姫繚乱
主な実在人物:藤原道長、安倍晴明他
主人公の元に亡き円融院の皇女が降嫁、しかし彼女は「神の子」と称し不思議な力で魔を狩っていた。架空平安ものだと思っていたら年代がはっきりしていて道長や晴明がしっかり登場していました。『斎姫異聞』全15巻、外伝全1巻、『斎姫繚乱』全13巻。

『清少納言 梛子』と『少年陰陽師』の順番は微妙です。『清少納言 梛子』に彰子入内話がなかったはずなので前後を決めてみました。「封殺鬼 鳴弦の月」はどこに入れるか悩みどころ。『少年陰陽師』に大江山ネタあったっけ? 『斎姫異聞』を調べてみたら「寛弘2年(1005年)」と明示されてました。

三条天皇時代

毛利志生子『外法師
主な実在人物:賀茂道平他
民間の呪術師「外法師」を主題にしたシリーズ。賀茂道平は実在する陰陽師でした(Google検索したら「道平が作成した暦が間違っていた」なんて記事がひっかかった)。全6巻。

崇徳天皇時代から後白河天皇時代

宮乃崎桜子『飛天のごとく
主な実在人物:藤原頼長、西行、平清盛他
「保元の乱における中心人物、両刀使いの悪左府こと藤原頼長が実は女性だったら」な悲劇。正妻の幸子さんがほんといい人で、彼女を亡くしてから暴走が歯止めかからないあたりが悲しい。全2巻。

後白河天皇時代

霜島ケイ「封殺鬼 影喰らい」
主な実在人物:安倍泰親、藤原忠通、藤原頼長、九条兼実他
陰陽バトルファンタジー。保元の乱前夜の不穏な空気を描きます。なにげに「日本三大悪妖怪(酒呑童子、玉藻前、崇徳上皇)」勢揃い。封殺鬼選集およびルルル文庫版『封殺鬼 鳴弦の月』所収の短編。

源平モノはパス

電撃文庫10月刊の『平安鬼姫草子 ~神ながら神さびせすと~』は晴明が出てくる平安時代もののようですが、なにせ晴明さん長生き過ぎて、今公開されている紹介文では年代がわからない。

単行本化がいつになるかわかりませんが、雑誌Cobalt連載中の宮木あや子「砂子のなかより青き草」は定子と清少納言ものです。

倉本由布「きっとシリーズ」(タイトルが『きっと○○ ××夢紀行』になっている一連のシリーズ)に、平安時代を舞台にしたものがありました。タイムトリップもので、いろいろな時代を旅します。三世代にわたり主人公が変遷していくのですが、そのうち二代目主人公と三代目主人公が1回ずつ平安時代に行くようです(未確認)

まとめつつ思ったこと

  1. 少女向けレーベルから出ているものがほとんど。例外が電撃文庫の『陰陽ノ京』『平安鬼姫草子 ~神ながら神さびせすと~』(10月刊行予定)ぐらい。少年向けレーベルはそもそも歴史ものが少ない。
  2. 晴明さん登場作品数多過ぎ。そのわりに『嘘つきは姫君のはじまり』には名前が出ない。他に複数作品登場は、慶滋保胤、賀茂保憲、藤原道長、清少納言(主役3作品目が連載中)、ネタがかぶってるせいもあって藤原忠通・頼長兄弟、ちょい役として出演している源頼光あたりかな。
  3. そういや、紫式部が主人公のライトノベルって知らない。清少納言はあるのに。ライトノベルじゃなかったら紫式部主人公があるのに。
  4. 菅原道真のころが舞台になることがない。意外です。ネタとして使い勝手が悪いのかな。
  5. 今回は名前を出しませんでしたが、村上天皇時代・一条天皇時代あたりをイメージソースにした架空平安ロマンス、ってのはかなりあります(ってか、それらの下敷きであろう源氏物語がそうなんじゃね?)

この記事を書くきっかけになったのは、「『嘘つきは姫君のはじまり』と『陰陽ノ京』どっちが先だっけ?」でした。

追記(2010/08/10):葉月あきさんの指摘で「封殺鬼 鳴弦の月」「封殺鬼 影喰らい」『暗夜鬼譚』、sfさんの指摘で『斎姫異聞』『斎姫繚乱』、『我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明』を追加しました。

追記(2010/08/11):fallcloverさんの指摘で「きっとシリーズ」を追記、Matsu23さんの指摘で『外法師』を追加しました。

ワード

Comments:1

rinca 2010年11月 4日 16:07

少年陰陽師では、 愁いの波に揺れ惑え あたりに冥府の官吏が登場していた気がします。
また、夕べの花と散り急げ にも登場しています。

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