「キスだけじゃ終わらない。新・乙女系ノベル」のうたい文句で6月3日創刊のティアラ文庫が、池袋の乙女ロード界隈の書店で先行発売しているとTwitter経由で知ったので、さっそく買ってきました。私が買ったコアブックスだと、注目コーナーになってる島スペースに山積みになってました。
一般書店で購入できるのは6月に入ってからだと思います。
創刊ラインナップ5冊の内訳は次の通り
- 剛しいら『華の皇宮物語』
- 中華風架空国家で後宮
- 成田空子『愛百合女学院へようこそ♥』
- 女子校百合ラブ
- 七海ユウリ『魔王子の花嫁』
- 魔王の息子が嫁取りに人間の王宮にやってくるファンタジー
- ゆりの菜櫻『伯爵は聖乙女にキスをする』
- 現代転生で日本からヨーロッパへ
- 水戸泉『ヴァンパイア・プリンセス』
- 現代日本で吸血鬼バトル
以下、ざっと感想など。ネタバレに注意。あと、エロ話も入りますので注意。
『華の皇宮物語』の地名が訓読しているところで一気に冷めてしまう中華ファンタジーファンな私。ほんのり百合描写があったり、後宮指南という設定上『後宮小説』並に身も蓋もない描写がありますので、幻想を求める人には少し不向きかも。ロマンスとしてはわりと無理がない感じ。
『愛百合女学院へようこそ♥』、「台詞の一人称が自分の名前」な主人公が身勝手にしか見えなくて、正直読むのがきつかったです。それでいて地の文は「私」になってるから違和感。頭お花畑でゆるゆるなガールズラブ。
『魔王子の花嫁』は、主人公も相手役もかなり精神的に幼いなあ、なんて思ってしまいました。すれ違ったり無理矢理未遂しながらも、思いを通じ合わせた後やることはやってるんですが初めて同士で初々しい。
『伯爵は聖乙女にキスをする』、読んでたら「あれ? なんか『ダ・ヴィンチ・コード』っぽい」と思いました。前世の記憶に振り回され、「相手は私じゃなくて前世の彼女が好きなんじゃ?」って悩むのはお約束。
『ヴァンパイアプリンセス』、エロ目的なら正直これ一択です。吸血姫のお相手が高校生ではないのだと理解した時と、吸血シーンがないことに気がついたのは頭をひねっちゃいましたが、エロイからいいです(おいおい)。
5作品のうち3作品は、「これって別に朝チュンでも問題なかったんじゃないかな?」と思ってしまいました。もちろん性交渉シーンはきちんと(?)描写しているのですが、体の結びつきよりも心の結びつきの方が重要視されているからでもあるし、私がエロさを感じなかったからでもあります。ただし、どの作品も挿絵に「男女が裸で絡んでる」ものがありますので、公共の場で読むのは危険です。
私が「これはエロイなあ」と思ったのは『ヴァンパイアプリンセス』。がっつりエロエロです。『愛百合女学院へようこそ♥』はエロ描写に意味があるタイプ。
要するに「愛し合ってるなら性交渉あるよね? ごまかさないでちゃんと書くよ」というレーベルであって、1冊を除きエロ目的に読むものではありません。
ファンタジー小説読みとしては全体に設定面のゆるさを感じてしまったのが残念でなりません。
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