ひょんなことで曲亭(滝沢)馬琴を調べていたら、ふと未完に終わった『傾城水滸伝』と『近世説美少年録』が気になってしまいました。『近世説美少年録』は陶晴賢を悪徳を持つ美少年にしてその成り上がりを(勝手に妄想して)描き、構想では「善の美少年」として毛利元就を登場させて対決させるという筋書きでしたがその前に馬琴先生が亡くなりました。
これだけでも「馬琴先生やりすぎだ」と思うのに、『傾城水滸伝』はぶっちゃけて言えば「性別逆転『水滸伝』」。Wikipediaによると、
中国文学の『水滸伝』の翻案。『水滸伝』の英雄豪傑を日本の賢妻烈婦にかえたもの。傾城とは国を揺るがすほどの絶世の美女のことであり、本来は褒め言葉だが、本作品では宿敵、亀菊の蔑称として使われている。
後鳥羽院の時代、後鳥羽院から寵愛をうけた白拍子亀菊の専横に世をはばまれた烈婦たちが、執権北条義時のために討たれた鎌倉の源頼家の息女三母姫を擁立し、近江賤ヶ岳江鎮泊にたてこもって亀菊および義時とたたかうという内容。
女性キャラ化パロディは183年前に馬琴先生が通った道だったんだ! さすが「こんな可愛い子が女の子のはずがない」犬坂毛野を生んだ馬琴先生。浅学なので今まで知らなかったよ。
ちなみに、108星のうち106星まで名前が設定されてます。なぜか二人足りてない。完結まで書ききれていたらちゃんと108星揃ってたのかな? 水滸伝同盟には原作『水滸伝』との対照表があります。
残念ながら今となっては入手難。たぶん現代語訳も出てないんじゃないかな、という状態なんだよなあ。私も未読だし。読んでみたいような、「烈婦」ってことは豪傑よりもすごい女性たちのようで怖いような。