7月創刊の「少女向け一迅社文庫」こと「一迅社文庫アイリス」の創刊ラインナップのうち『パステルと空飛ぶキャンディ』がなかなかよかったです。著者がビーンズ文庫やビーズログ文庫で美形男性がいっぱい出てくる作品を多く書いている志麻友紀さんですので、寄宿制女学校ものがちゃんと書けるかどうかと思ってしまいましたが、杞憂でした。もちろん美形男性は複数出てきます。
内容はというと、魔法がある世界で父は不明・母を亡くして修道院に預けられていた少女が、正体不明の後見者によって寄宿生の女学校に入学、同室の謎めいた少女や高慢なクラスメイト、同室の少女の親戚の美形青年や謎の王子様と出会い、料理バトルや暗殺未遂に巻き込まれていく話。
要素だけ抜き出すと、孤児+修道院+あしながおじさん+寄宿生女学校+同室の美少女+高慢なクラスメイト+料理バトル+謎の王子様+陰謀+魔法。盛りだくさん過ぎ。破綻せずに盛り込めたのは著者の力量なんでしょうね。さすがにこの巻だけではいろいろとわからないまま終わっています。
これ読んでると、なぜだかファミ通文庫の『カーリー』が読みたくなって仕方がありません。『カーリー』も、孤児+寄宿生女学校+同室の美少女+高慢なクラスメイト+王子様+陰謀だからかな。そういや両方とも「金髪ウェーブ幼め+黒髪ストレート大人びてる」だ。
残念ながら今実家で、『カーリー』は自宅に置いてきたので悶々としています。しかも2巻が出たのが2006年9月末と、2年近く前に出たっきり止まってます。著者の高殿円さんがコミックマーケットで同人誌として出すということらしいのですが、自宅に帰るのは盆明けなのでコミケには行けないよー。ファミ通文庫さん、続き出してください。お願いします。
『パステルと空飛ぶキャンディ』に話を戻すと、百合っぽい描写はありますが、最終的には王子様の方にいくんだろうという予想を立ててしまいます。ただ主人公の母親や父親がなんらかの秘密を持っていそうですし、同室の美少女は確実に秘密持ちだろうなあ。続きが出たら読むモードです。
一迅社文庫アイリスは、他にも『葬月記』と『ワイルドブーケ―花の咲かないこの世界で』を読了。
『葬月記』は砂漠地帯に住む不老不死の呪いをかけられた砂使いが、肥沃な大帝国の皇帝暗殺後の混乱を回避させるために連れ出される話。たぶんシリーズが続くんですが、この一冊で話はまとまっています。
『ワイルドブーケ―花の咲かないこの世界で』はある意味一迅社文庫アイリスの目玉「ジャンル:百合」の二作のうちの一作。王の婚約者とメイドなのに、メイドっぽさ、身分の格差がなくて私は大いに不満でしたが、対象読者にはこのくらいゆるいのがあってるのかなあ。