以前第1巻が出たときに感想を書いたのですが、ここのところチベット情勢が話題になっているので、積読になっていたもの+4月1日発売日の新刊を読みました。
コバルト文庫から刊行の毛利志生子「風の王国」シリーズは、唐の太宗李世民の姪でありながら商家で育った翠蘭が、皇帝の娘「文成公主」として現在のチベットを支配する吐蕃王に嫁げと命令されたところから始まります。彼女が夫と出会って愛し合い、漢人王妃への反発や、統一されて間もない吐蕃国内問題などさまざまなトラブルを跳ね返していく物語なわけですが......。
あががががが、積んでいる間になんつーことになってるんだ。1巻の時に思わずいろいろ調べてしまい「うわー、チベット側伝承でいくと悲しいことになっちまうなあ。シリーズ続けてそこまでやるかなあ」と少女小説としての行き先を危ぶんでいたら、みごとに「悲しいこと」になってしまってました。
本編は基本的に1冊1エピソード完結でしたが、最近の三冊(『初冬の宴』『金の鈴』『嵐の夜 上』)は連続エピソードになっています。というか終わってない。「『嵐の夜 下』で完結」と言われてもおかしくないぐらいのシリーズ一番の山場になっています。(著者の頭の中にはあと数冊分の物語があるそうです)。
翠蘭が出てこない番外編が2冊あります。4巻までレギュラーでしたが西域に旅立った翠蘭の護衛尉遅慧主人公の『河辺情話』と、ソンツェン・ガムポ王ら親世代の『花陰の鳥』。
短編集も2冊。どちらもイラスト担当の増田メグミさんの手による漫画入りです。『朱玉翠華伝』所収の短編小説「花の名前」には、中国唯一の女帝まで出てきてついニヤニヤと。でもこの短編に出てくる他の人の後々のことを考えるとちょっと悲しくなります。
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