1巻発売当時から「良いゲーム小説」と聞いていたので買ったのですが思わず積んでしまってました。先日発売の4巻で完結、さひろさんがとにかく読むべし。と言っていたので、積み本くずしの優先順位を上げて読みました……しまったぁ! 何で積んでしまったんだ私は!
圧倒的な戦力を持つ異星人「ゼイ」(これはTheyかな?)によって無条件降伏した地球。ゼイは地球に《ゲーム》をもたらし、《ゲーム》のワールドチャンピオンをゼイの艦隊編入し、チャンピオン所属国に「おみやげ」(科学技術の提供)を与えた。ワールドチャンピオンとなって宇宙に旅立った兄を追うべく《ゲーム》を行う雫、両親を《ゲーム》で亡くしゲームで知り合った友人たちに旅立たれていく伝説の天才メカニック聖一、両親を《ゲーム》に取られた冬湖……。
《ゲーム》プレイ中に聴こえてくる「クジラ」の声、アウターシンガーと呼ばれる「クジラ」の声を聞いて圧倒的な強さを誇るゲームプレイヤー、ゼイではなくゼイに滅せられた第二の異星人でもない「第三の異星人」、《ゲーム》のために存在する浮遊島ヴァレンタイン島での本選中に起きたアウターシンガーの大量死亡事故。《ゲーム》の真実とは? ゼイの実態と事実を知った地球人との関係はどうなる?
でまあ、1巻読んで反省した私は、残り3冊を買って一気読みしました。一気読みは快感です。特に3巻は「なんでここで止める!」って思っただけに。ゲーム小説要素が強いのは1巻ぐらいで、巻が進むにつれどんどん壮大な多元宇宙の存在や、事実を知って変容する地球社会が現れてきます。
このままだと神ネタSFや社会派SFになっていくところですが、『クジラのソラ』はあくまでも少年少女の視点から離れない。特に4巻、天才や彼岸に行ってしまったキャラクターたちではなく、桟敷原雫という努力型で自分の限界というものを知ってしまった人間が話を駆動していくところが感動的。
『クジラのソラ』の設定で神ネタSFが見てみたいという欲望もあるんですが、それやってしまうと「富士見ファンタジア文庫」の枠を超えちゃうだろうし、神ネタSFは失敗すると無残ではあるので、熱血バトルスポーツ小説であり続けたことを評価したいです。
私は気にしなかったんですが、海外スペースオペラ読みにはニヤリとするネーミングなんだそうです。「第二段階」はレンズマンだし、他にも結構名前にSFネタがあるんだとか。「ソラ」は最終巻あとがきでネタバレしてますね。それにしても猫なソラは卑怯だ。うっかり萌えてしまったじゃないか。
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