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今年のライトノベル個人的ベスト10

今年読んだライトノベル(少女小説・ノベルズ含む)は161冊でした。積本がまだまだ大量にあるので、あと2日でまた増えるかもしれませんけど。

今年読んだ中で私のベスト10を選んでみました。順不同。私の趣味が大きく反映していますので、少女小説が過半を占めています。あと、ヴィクトリアンな話が多いなあ。

ユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語 (C・NOVELSファンタジア)
ユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語 (C・NOVELSファンタジア)
  • 著者: 定金 伸治
  • 発売元: 中央公論新社
  • レーベル: C・NOVELSファンタジア
  • 発売日: 2006/12
  • おすすめ度 4.5

出版されたのは去年だけど読んだのは今年なのでここに。ヴィクトリア朝風の別世界における、技術者同士の競い合いに国同士の思惑がからんできて……。

破天荒なエルフェールに振り回されるようでいて、実は手のひらで転がしているネルが印象的。続刊を希望してるんだが音沙汰がないなあ。

黄金の魔女が棲む森美しき邪なる公子 (TOKUMA NOVELS Edge)
黄金の魔女が棲む森美しき邪なる公子 (TOKUMA NOVELS Edge)
  • 著者: 麻木 未穂
  • 発売元: 徳間書店
  • レーベル: TOKUMA NOVELS Edge
  • 発売日: 2007/01
  • おすすめ度 5.0

黄金の魔女が棲む森』や『麗しき巡礼の姫』までは「続きがあれば読みたい程度には面白いけど、熱狂的にではない」程度だったんですが、『美しき邪なる公子』で化けました。キリスト教が布教しきったローマ世界でファンタジー、というのがちと無理があったのか、ペルシャ編になってどんどん面白く。

この巻からレギュラーとなるヤズダギルド皇子がまたお茶目な人で。「私は神をもしのぐ美貌と、天才的な頭脳と、完璧なまでの剣の腕を手に入れた。これ以上、何かを欲しがっては、天罰がくだってしまおう」などと真顔で言っちゃう(たしかに美形で頭が良くて剣も強いのは事実なんだが)。ツッコミ担当の傭兵スタウロスも良い。

ペルシャ帝国を「エーラーン帝国」と表記するのは、「アルスラーン戦記」を読んできた私にとっては違和感バリバリでした。「エーラーン・シャフル」=イラン人の領域という意味で、正しい表記なんですけどね。

楽園ヴァイオリン―クラシックノート
楽園ヴァイオリン―クラシックノート
  • 著者: 友桐 夏
  • 発売元: 集英社
  • レーベル: コバルト文庫
  • 発売日: 2007/04
  • おすすめ度 5.0

白い花の舞い散る時間』がライトノベル書評界隈で話題になっていたのをスルーしてたのがもったいなかったと思わせた一品。雑誌コバルトに掲載されていた短編(未収録)で興味を持ったんですよね。

『白い花の舞い散る時間』や『盤上の四重奏』の舞台と同じ「特別な塾」に集う少年少女の話。ただし独立性は高いので単品でも大丈夫です。

「一般小説的」という評を見るんですが、題材的には「これぞ少女小説」といったもの。ただ今のロマンス全盛なコバルト文庫のカラーには合ってないかな。今年5月(4月下旬発売)以降音沙汰がないのが不安です。

花咲く丘の小さな貴婦人―寄宿学校と迷子の羊 (コバルト文庫)
花咲く丘の小さな貴婦人―寄宿学校と迷子の羊 (コバルト文庫)
  • 著者: 谷 瑞恵
  • 発売元: 集英社
  • レーベル: コバルト文庫
  • 発売日: 2006/12/22
  • おすすめ度 5.0

19世紀末に「男女共学全寮制学園」などというものを作り上げた著者に完敗。しかも主人公にヴィクトリア朝的価値観を持たない少女に設定し、その設定が不自然でないものに仕上げた力量はすばらしい。

当時としてはリベラルなものの見方をする主人公エリカによって周りの人たちの考え方がどう変わるか、エリカ自身が地主階級の当主としてどう育つのか、エリカの相手役となる人物がエリカを補佐する立場という意識に目覚めることができるか、といった成長ものとしての今後を期待します。

身代わり伯爵の冒険 (角川ビーンズ文庫 64-1)
身代わり伯爵の冒険 (角川ビーンズ文庫 64-1)
  • 著者: 清家 未森
  • 発売元: 角川書店
  • レーベル: 角川ビーンズ文庫
  • 発売日: 2007/02
  • おすすめ度 4.5

第4回ビーンズ小説大賞〈読者賞〉受賞作。ビーンズ小説大賞って受賞が決まってから出版まで1年待たされるんだよなあ。その間にリライトしてたりするんだろうけど。

行方不明になった双子兄の代わりとして髪の毛を切られた挙句男装させられ隣国の宮廷に赴く羽目になる庶民派ヒロインの話。出てくる人物がまた奇人変人ばかり。

ヒロインがある人物の言動に対して「天然だ」と思うシーンがあるんですが、「一番天然なのはヒロイン自身だ!」と突っ込みつつ読むのが正しいんだろうなあ。

キスとDO-JIN!―王子様はカリスマ大手!? (もえぎ文庫 ピュアリー)
キスとDO-JIN!―王子様はカリスマ大手!? (もえぎ文庫 ピュアリー)
  • 著者: 小林 来夏
  • 発売元: 学習研究社
  • レーベル: もえぎ文庫 ピュアリー
  • 発売日: 2007/03
  • おすすめ度 4.5

同人界の闇を描く(?)逆ハーレムコメディ。この巻は即売会の暗黙のルールとテンバイヤー問題、続巻『キスとDO-JIN!~お兄様はTAXフリー!?』はサブタイトルでわかるとおり税金問題。最新刊『キスとDO-JIN!~同級生は801嫌い!?』はナマモノやおいと腐女子バレが主題で、ヒロインの同人作家サクセスストーリーが根底にあります。

出てくる同人作家が皆美形、というあたりはファンタジーだよなあ。

でも一番の見所は「同人誌なんか作ってる連中はペドフィリアな変態で危険人物」だと言い切って恥じない過保護執事だと思います。

プリンセスハーツ 麗しの仮面夫婦の巻 (小学館ルルル文庫 た 1-1)
プリンセスハーツ 麗しの仮面夫婦の巻 (小学館ルルル文庫 た 1-1)
  • 著者: 高殿 円
  • 発売元: 小学館
  • レーベル: 小学館ルルル文庫
  • 発売日: 2007/05
  • おすすめ度 5.0

著者がビーンズ文庫で書いていたパルメニアものの第4シリーズになるのかな。舞台はパルメニアではなくその北にあるアジェンセン。最終的にどうなるかは彼らの孫が主人公の「遠征王シリーズ」でわかってることなんですが、結末わかってても面白いものは面白い。

「初恋の君を妻として迎えたと思ったら実は影武者でした」な王様と、「身近な人たちを破滅させられて影武者やらされてます」な偽者王妃様が、同じ敵に復讐するために手を携えつつ愛情を育てる、という話。

プリンセスハーツ 両手の花には棘がある、の巻』がヒロイン危機一髪状態で終わっているので続巻が待たれます。あ、でもクライマックス直前状態のままの『銃姫』の方を先に出してほしいかなあ。悩みどころだ。

ソフィアの宝石 -乙女は、降り立つ- (ビーズログ文庫 わ 1-1)
ソフィアの宝石 -乙女は、降り立つ- (ビーズログ文庫 わ 1-1)
  • 著者: 渡海 奈穂
  • 発売元: エンターブレイン
  • レーベル: ビーズログ文庫
  • 発売日: 2007/08/20

ヴィクトリア朝風異世界で、父親を亡くして母方の親戚である貴族に引き取られた少女が、国をゆるがす陰謀に巻き込まれてしまう話。彼女自身にもなにやら秘密がある様子。

逆ハーレムものかなと思ったら、どんどん選択肢がつぶされてってますけど。会話するたびに喧嘩腰になってしまう相手と、どう関係を深めていくか、かなあ。

クジラのソラ 4 (4) (富士見ファンタジア文庫 159-5)
クジラのソラ 4 (4) (富士見ファンタジア文庫 159-5)
  • 著者: 瀬尾 つかさ
  • 発売元: 富士見書房
  • レーベル: 富士見ファンタジア文庫
  • 発売日: 2007/11

ゲーム小説のふりをして実は格闘小説。でもって宇宙文明として羽ばたいていく地球を描くSF。

一気読み推奨。特に第3巻と第4巻は一気に読んだほうがいいです。第3巻読了後は「なんでこんなことになったんだ!」と不満に思うでしょうから。

世界の変容を描いておきながら視点はあくまでも少年少女にあり、キャラクター小説であることを忘れていません。組織や国家の話は背景に追いやられているけれど、「何事かあった」ということは伺えます。

流血女神伝喪の女王 8 (8) (コバルト文庫 す 5-63)
流血女神伝喪の女王 8 (8) (コバルト文庫 す 5-63)
  • 著者: 須賀 しのぶ
  • 発売元: 集英社
  • レーベル: コバルト文庫
  • 発売日: 2007/11/01
  • おすすめ度 5.0

帝国の娘 (前編) 』刊行から8年、作品世界で10年かかった波乱万丈の少女カリエの物語がとうとう完結しました。『喪の女王 7』の時はほんとに次の巻で終われるのだろうかと心配しました。

何度も立場を変えるだけでなく、子の父親が違ってるとかまあ少女小説らしからぬ展開がてんこ盛りでした。カリエに関わっていく人たちの魅力もすばらしく、大河小説の醍醐味も味わえます。

カリエの物語は終わったけれど、ネクストジェネレーションが読みたい作品です。

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