asahi.comに自費出版でトラブル相次ぐ「本屋に並ぶと思ったのに」という記事が掲載されました。asahi.comの記事では固有名詞が除かれていて一般論になってしまってましたが、YOMIURI ONLINEでは元教授ら自費出版「新風舎」提訴、一部書店しか本出回らずと、提訴されたのは新風舎であることが明記されています。
俺と100冊の成功本で名前が出ている元教授の自費出版本が紹介されてます。Amazonや楽天ブックスで売られてるんですね、って、たいていの自費出版本はちゃんと書籍流通に乗るから、ネット書店でも売られるんだけどね。
自費出版がらみでは以前に脅迫文送りつけたら自費出版物が売れるほど世の中甘くないという記事を書いたことがあります。そこでも紹介したのですが、のべるのぶろぐの自費出版の本が売れる訳ない!という記事で書店に自費出版本が配本されたときの反応が紹介されています。
そんな中、なんか造りの安っぽい本が一冊二冊入ってくる。出版社を見て納得。「ああ、自費出版か」
そして即返。陳列せずに即座に返品の略である。
もしタイトルを見て、ひょっとしたら売れるかもと思ったら、一応新刊棚に刺してみる(数も少ないし平積み・面陳は無理)。で、一週間くらいして「案の定売れなかったな」で返品。
出版点数が約7万点というこのご時勢、書店だって売れそうにない本を並べておく余裕なんかないようです。黙っていて「本屋に並ぶと思ったのに」では並びません。たとえ書店に個別営業をかけて並んだとしても、普通の出版物でさえ一週間で返品がありえるぐらい。売れる方が「まちがっている」。
ネット上では自費出版ビジネスにひっかかって無駄な夢を膨らませて敗れ去る話が何度か話題になってますが、そういう認識はなかなか外には広まらんのですね。
自費出版ビジネスそのものを否定するわけではありません。売れなくても「本を出した」という満足感を得たい人、出版物という形で後世に残しておきたいものがある人が、資金回収どころか全額無駄になるつもりで自費出版するものでしょう。
提訴された新風舎がどんな調子のいいことを言って世間知らずの元教授らに金を出させる気にさせたのかがわからないので彼らを責めてはいけないのでしょうけど、「本は売れない」ということがもっと知られないといけないのかな、と思います。
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