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小林来夏『キスとDO-JIN! 王子様はカリスマ大手!?』お嬢様腐女子のサクセスストーリー?

オンライン書店ビーケーワン:キスとDO-JIN!

キスとDO-JIN!―王子様はカリスマ大手!?』、実はあんまり期待してなかったけど、感想書きたくなるぐらいにおもしろかった。 最近『腐女子彼女。』や『となりの801ちゃん』みたいな腐女子をネタにする本がいろいろ出ていますが、そういうブームの一環なのかな?

表紙画像がネット書店に入ってないので学研公式サイトをご覧ください。表紙画像が入りました。真ん中にいる主人公が男の子にしか見えない私の目は腐れてますね。

お嬢様の鈴木七海は、マンガ執筆に勤しむ同人少女。七海は初参加の同人誌即売会でトラブルに巻き込まれるが、その窮地を救ったのは超イケメンのカリスマ大手作家だった……! 同人界の真実に鋭く切り込む!? 話題騒然★腐女子のシンデレラ・ストーリー。

主人公を挟んでる二人が、その「カリスマ大手作家」です。右側のチャパツが人気ギャルゲ原画家の片割れ(ということになっている)で思い出の「隣のお兄ちゃん」似の高橋。左側の黒髪がプロデビュー済で寡黙な「戦国武将」な西南北。上のほうにちっちゃくいるのが七海の家の過保護すぎる執事。他にも超大手カリスマ作家の「マダムバタフライ」こと蝶子なんてキャラもいます。

ヒロインが腐女子なだけあって、イケメンを見てまず思うのが「受けか攻めか」。西南北を助け起こす同級生の美形少年の様子を見て「下克上」などという単語が浮かぶあたりもうなんとも。読者の目には男どもがヒロインに対してあきらかに友情ではない好意を抱いてるのに、そういうことに想像が及ばないキャラクターである理由として「腐女子である」というのはけっこういいねえ。

同人界の真実に鋭く切り込めてるかどうかというと、私自身が同人界をあんまり深く知らないんでなんとも。とはいえ最初の方の同人誌即売会でのトラブルや心の動きは真に迫るものがあります。世間知らずで傲慢さがないヒロインなだけあって、トラブルのたびに大げさな反応を見せてしまっても好感を持てます。

この巻ではシンデレラの階段を登り始めただけ。漫画家志望のヒロインの克服すべき点がまだ残っていますし、高橋や蝶子についてもなんだか裏がありそうな感じがするだけ。続刊を待ちたいのですが、「もえぎ文庫ピュアリー」自体が三ヶ月に一度という零細レーベル。これが終わるまで持ちこたえればいいのですが。

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